FIDとは?|SEO関連用語集

読み方: エフアイディー(First Input Delay)
目次
概要
FIDとは、ユーザーが最初にページと対話(クリック、タップ、キー入力)してから、ブラウザがそのインタラクションに応答するまでの時間を測定するCore Web Vitalsの指標です(2024年3月にINPに置き換え)。
詳細説明
FID(First Input Delay)とは、ユーザーがページとインタラクションを開始してから実際に処理が始まるまでの遅延時間を測定する指標で、2021年から2024年3月まで Core Web Vitalsの公式指標でした。Googleは100ミリ秒以下を「良好」、100〜300ミリ秒を「改善が必要」、300ミリ秒超を「不良」と定義していました。FIDはフィールドメトリクス(実際のユーザーデータ)でのみ測定可能で、ラボ環境では測定できないという特徴があり、主にJavaScriptの実行によるメインスレッドのブロッキングが原因で発生します。2024年3月にGoogleはFIDをINP(Interaction to Next Paint)に置き換えましたが、FIDで培われた最適化手法は現在でも有効です。
重要性
FIDが重要な理由(過去形を含む)は以下の通りです。
- 2021年から2024年3月までGoogleの検索ランキング要因の1つであり、ページ体験の主要指標として機能していた
- ユーザーがページの応答性をどのように体験するかを示す初期の重要な指標であった
- 特にモバイル端末では、JavaScriptの処理負荷が高いとFIDが悪化し、ユーザー体験が損なわれる
- FIDが長いと、ボタンをクリックしても反応がない、フォーム入力が遅れるなどの問題が発生し、ユーザーのフラストレーションにつながる
- FIDの概念と最適化手法を理解することは、現在のINP最適化の基礎として依然重要
具体例・実践方法
FID改善のための実践方法(INPにも適用可能)
- JavaScriptの最適化
- 不要なJavaScriptの削除とコードの軽量化
- コード分割(Code Splitting)で初期ロードを軽減
- ツリーシェイキングで未使用コードを除去
- Minification(圧縮)とBundleサイズの最適化
- 実行の遅延とスケジューリング
- 重要でないスクリプトの遅延実行(`defer`、`async`属性)
- `requestIdleCallback`の使用でアイドル時に処理を実行
- 初期ロード時に必要最小限のJavaScriptのみ実行
- Webワーカーの活用
- 重い計算処理をバックグラウンドスレッドで実行
- メインスレッドの負荷を軽減
- サードパーティスクリプトの管理
- 必要最小限のサードパーティスクリプトに制限
- 遅延読み込みやオンデマンド読み込みを活用
- パフォーマンス影響の大きいスクリプトは代替を検討
- 長いタスクの分割
- 50ミリ秒を超えるタスクを小さく分割
- `setTimeout`や`scheduler.yield()`で処理を分散
関連用語
- INP
- TBT(Total Blocking Time)
- LCP
- CLS
- TTFB
- Core Web Vitals
- JavaScriptパフォーマンス
- メインスレッドブロッキング
- TTI(Time to Interactive)
- レスポンシブネス
注意点・補足
FIDに関する注意点は以下の通りです。
- 2024年3月にCore Web VitalsからINPに完全置き換えされたため、現在のSEO対策ではINP最適化に注力すべき
- 古いレポートやドキュメントではFIDが言及されている場合があるため、その概念を理解しておくことは重要
- FIDはフィールドデータ(実際のユーザー)でのみ測定可能で、ラボテスト(Lighthouse)では測定できなかった
- FIDは最初のインタラクションのみを測定するため、ページライフサイクル全体の応答性は評価できなかった(これがINPへの置き換え理由)
- Google Search ConsoleやPageSpeed Insightsでは、2024年3月以降FIDデータは表示されずINPが表示される
最新トレンド(2025年)
2025年現在のFIDに関する状況は以下の通りです。
- FIDは完全にINPに置き換えられており、すべてのGoogle公式ツール(Search Console、PageSpeed Insights、Chrome UX Report)でINPが表示される
- FIDで培われたJavaScript最適化の知識(コード分割、遅延読み込み、長いタスクの分割など)は、INP改善にも直接適用できる
- 最新のフレームワーク(React 19、Next.js 15、Vue 3など)は、デフォルトでINP最適化を考慮した設計となっており、FIDの問題も自動的に改善される
- FIDの概念は歴史的に重要であり、2021-2024年のSEO施策を理解する上で知っておくべき知識となっている

